働き手にもっと医療費を
堺屋太一さんは大の女子プロレスファンで、一度誘われて、大阪で女子プロレスの試合を見に行ったことがあります。氏が経済企画庁長官だった時で、いわゆるお忍びの女子プロレス観戦で周りを囲む壁の役割だったんだなぁと今になって懐かしく思い出します。氏はが朝日新聞の4日の夕刊に『2020年代「3度目の日本」創造』というコラムを寄稿されています。氏は「団塊の世代」という言葉を作った本人であり、ちょうど私が書きたいと思ったことと少し重なるところからご紹介します。
団塊の世代は70歳代後半に突入していく。彼らは日本を反映させてきましたが、年金や医療費などの社会保障費を食いつぶし去っていく。問題は、その後。荒涼たる日本が残るのか。それとも新しい楽しみが生まれるのか。若い世代は、自分が何が好きなのかを一人ひとり考え、それを実行してほしいですね。世間から笑われたり、そんなの無駄やと言われてもいい。
さて、患者調査からわかることの第2弾です。下のグラフを見ていただければ一目瞭然です。同じ平成26年の厚生労働省の発表資料から年代別の医療費を表しています。65歳以上のリタイア組が約24兆円(全体の60%)を使っています。しかし、34歳までは5兆円、中年世代は12兆円弱と極端に差が出ています。
上のグラフと比較して、次の年代別グラフを見ましょう。同様に厚生労働省が発表した人口動態表から作図しました。平成26年10月1日現在の日本人の人口です(外国人が入っていません)これを見ると、35ー64歳の人口が65歳以上の人口とほぼ同等であることがわかります。さらに15歳ー64歳のいわゆる就業できる人口は64歳以上を上回ることになります。
65歳以上のリタイア組の医療費は当然あちこち体が悪くなることがあるとしても、あまりにも人口と照らし合わせてみて異常にアンバランスであることがわかります。ここまで見て、若い人たちは、病気にならないから、当然医療費がかからないのは当然で、相対的に65歳以上の医療費が多いのは当然のことであるとの見解もあるでしょう。しかし、本当にそうでしょうか?
若者を取り巻く環境は以前と比べて劣悪だと感じます。うつ病、統合失調症、ADHD、などの精神関連の疾患は蔓延しています。それ以外に、片頭痛、喘息、アレルギー、生理による不快感。これらは働く世代にとって防がなければならない問題です。働く世代が内的環境を良くすることによって、より働きやすくしなければならない、そのために高齢者の医療費の何割かでもこの世代に振り向けなければなりません。
高齢者には申し訳ないが、すでにこの年代が生み出した経済効果は食いつぶされています。働く世代が生み出すGDPは彼ら本人に還元されるべきです。特に精神疾患の問題は立ち遅れていると言わざるをえません。
患者調査から見えるものは何か?それは、社会保障をすることで日本の経済効果が低くなっている、そう考えると日本を強くするためにより日本を強くする社会保障政策をしなけれならないのではないでしょうか。