神奈川県は病床数が少ないですか?

現在、神奈川県知事選挙で新聞折込に選挙公報が入っていました。その中である候補者が「全国最下位クラスの医療体制 一般病床数全国47位」と書かれています。これははっきり言って誤解されています。もし分かっていて書いているなら県民に誤解を生む文言です。

  • 神奈川を含む首都圏は入院せざるを得ない高齢者が少ないので病床数が少なくて済んでいる。
  • つまり働いている高齢者が多い。
  • そもそも病床数を決めているのは厚生労働省である。

下の棒グラフを見ると、神奈川は全国で一番病床数が少なくて済んでいます。一方、高知県は3倍以上多くなっています。神奈川県と高知県を年代別に比べてみると65歳以上の高齢者の割合の違いが歴然と分かります。

 

では、「そもそも病床数が少ないので入院しなければならない人が入れなくなっているのではないか」という反論もあるかもしれません。しかし、後述する基準病床数は厚生労働省がその叩き台を様々な要因で決定しているもので需要と供給にギャップがないようになっています。さらに都道府県がその他の要因などを鑑み厚生労働省と折衝して決められています。

つまりそう単純に決めつけることはできないということはお分かりいただけたであろうか。

また、医療介護の分野では公助・共助・自助がバランスよく纏っていることが肝要です。特に共助は地域における住民の助け合いという観点から非常に重要な要因になっています。

基準病床数とは

病院及び診療所の病床の適正配置・過剰な病床数を抑制すること目的に、医療圏ごとの病床整備の基準として、医療法に基づき、病床の種類ごとに定めるものです。

一般病床数とは

病院またはクリニックの病床のうち、精神病床・感染症病床・結核病床・療養病床以外の病床のことです。 一般病床には集中治療を行うためのICUやNICUのほか、ホスピスや緩和ケア病床なども含まれます。

では基準病床数はどのように決められるのか?

基準病床数は、地域の人口、人口密度、医療需要、病院の種類、設備や機器の充実度など、様々な要因に基づいて決定されます。

一般的には、地域における医療ニーズの推定値を算出し、それに基づいて必要な病床数を算出することが多いです。病床数の算出には、地域の人口、人口構成、年齢層、疾患発生率、入院期間などのデータが用いられます。

また、病院の種類や設備・機器の充実度によっても基準病床数は異なります。例えば、救急病院は重症患者を受け入れるため、基準病床数が多く設定される傾向があります。

基準病床数は、厚生労働省や地方自治体などが定める基準に基づいて設定されることが多いです。しかし、地域の医療需要や人口変動などによって、必要な病床数は変化するため、定期的な見直しが必要です。

基準病床数はどこが策定するのですか?

基準病床数は、国や地方自治体などが策定することが一般的です日本の場合、基準病床数は厚生労働省が定める「病院基準」という指針に基づいて設定されます。病院基準は、医療需要や地域の人口構成、病院の役割や機能などを考慮し、必要な病床数を算出するための指針となっています。病院基準は、病床数の算出方法や設備の充実度、医師・看護師の配置基準などを規定しています。

また、地方自治体でも独自に基準病床数を設定することがあります。例えば、地方自治体が策定する「地域医療計画」に基づいて、必要な病床数を算出することがあります。自治体独自の基準病床数は、地域の医療ニーズに合わせたものになっています。

基準病床数は、医療ニーズや地域の人口変動などによって変化するため、定期的に見直しが行われることが必要です。

 

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