やまゆり園・相模原殺傷事件、極楽寺・忍性の思いは届かないのでしょうか?
今日、やまゆり園・相模原殺傷事件の裁判員裁判が始まりました。この事件が起こった時に忍性を思い起こす人もいたのではないでしょうか?忍性は社会福祉の先駆者として知られる真言律宗の僧侶です。鎌倉の極楽寺の実質的開祖としても有名です。
忍性は奈良県に生まれて、文殊菩薩への信仰を教えられました。
文殊信仰は、文殊菩薩が貧窮者や孤独な人、病気や苦悩を背負う衆生に身を変えて、信じる人の前に現われるというものです。ですので、私たちがこのような方々に対峙した時、その振る舞いは私たちの本性に出てしまうのです。
師匠にあたる西大寺の叡尊に師事し、聖徳太子の教えに沿ってこのような方々のために病院や救護施設を作ってきました。特にハンセン病患者のための施設は大掛かりなもののようでした。
その後極楽寺へ移って、鎌倉にも患者さんのための施設を多く作られました。今、極楽寺は花の名所として有名ですが、所々に忍性の残した業績を見ることができます。
忍性はこのような業績から、人々の救済に努めた忍性に、後醍醐天皇は「菩薩」号を追贈されました。
私たちが介護を必要としている人、病気で元気で暮らせない人などに接する時に、顔には出さないにしても、どうしても自分に優越感を感じることもあるかもしれません。それはそれで本来持っている性でしょうが、ここで一旦、「この方々にどのように接すれば良いのだろう」と考えることが大切なのではと感じるわけです。